眼形成外科とは?|顕微鏡を使った精密な目元手術と、私の修行の原点
「眼形成」という言葉を初めて聞く方も多いかもしれません。今回は、私が専門とする「眼形成外科」とは何か、そしてなぜ顕微鏡を使うのかについてお話しします。
眼形成外科(Oculoplastic Surgery)とは
眼形成外科は、眼科と形成外科の境界領域に位置する専門分野です。目元周囲の解剖学を深く理解した上で、機能(見える・目が開く)と整容(美しさ・自然さ)の両方を追求する分野です。
対象となる疾患・手術は多岐にわたります:
- 眼瞼下垂(まぶたが下がって目が開きにくい)
- 逆さまつげ(まつ毛が眼球に当たって痛い)
- 眼瞼内反・外反(まぶたが内側・外側にめくれる)
- 眼窩骨折の修復(事故などによる目の周りの骨の骨折)
- 涙道閉塞(涙が止まらない)
- 眼窩腫瘍
こうした疾患に対して、単に「切って縫う」のではなく、目の機能を温存しつつ、見た目も自然に仕上げることが求められます。
なぜ顕微鏡を使うのか
目元の手術において、肉眼では見えない精密さが要求される場面は数多くあります。
まぶたの構造は非常に複雑
上まぶたは薄い皮膚の下に、眼輪筋、眼窩隔膜、眼窩脂肪、挙筋腱膜、ミュラー筋、瞼板、結膜…と何層もの構造が折り重なっています。それぞれの層の厚さは0.5〜2mm程度。これらを正確に同定し、損傷せずに操作するには、拡大視野が不可欠です。
血管・神経の走行を確認する
顕微鏡下では、肉眼では見えない微細な血管の走行が確認できます。不要な出血を避けることで、術後の腫れや内出血を最小限に抑えられます。
縫合の精度が仕上がりを決める
目元の皮膚は体の中で最も薄い皮膚の一つです。ここに0.1mm単位の精度で縫合を行うことが、傷跡の目立たなさや左右対称性に直結します。
福岡眼瞼下垂手術センターでの修行
私は美容外科の院長を歴任した後、福岡の眼瞼下垂手術センターにて眼形成外科の集中的なトレーニングを受けました。
ここでは、年間数百件もの眼瞼下垂手術が行われており、軽度から最重度まで、あらゆるバリエーションの眼瞼下垂を経験する機会に恵まれました。また、顕微鏡下での手術手技を徹底的に叩き込まれた場所でもあります。
この経験が、現在の当院の手術の根幹を形作っています。
美容外科に眼形成の技術を
一般的な美容外科クリニックでは、二重手術や眼瞼下垂手術を「美容手術」としてのみ捉えがちです。しかし、まぶたは**「見る」という機能を担う器官の一部**です。
美しさだけを追求して機能を犠牲にすれば、目が閉じにくくなったり、ドライアイが悪化したり、長期的な不具合が生じます。
当院では、眼形成外科で培った「機能を守りながら美しく仕上げる」というアプローチを、すべての目元手術に適用しています。これが、他の美容外科との最も大きな違いだと考えています。