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二重埋没法の術式比較|点留め・線留め・裏留め・自然癒着法の違いを論文ベースで解説

二重埋没法にはさまざまな術式がありますが、クリニックごとに名称やアピールポイントが異なり、患者様にとっては比較が難しいのが現状です。

ここでは、主な術式を医学的な分類に基づいて整理し、それぞれの利点と欠点を解説します。可能な限り、根拠となる学術文献も併記しています。


1. 点固定法(Interrupted Buried Suture)

最もベーシックな埋没法。2〜3箇所を独立した糸で個別に固定します。

利点:

  • 手技がシンプルで手術時間が短い
  • 万が一取りたい場合に部分的な抜糸がしやすい
  • 幅の微調整が比較的容易

欠点:

  • 各固定点に力が集中しやすく、チーズワイヤー現象(糸が組織を裂いて外れる)のリスクがある
  • 固定点と固定点の間でラインが不連続になることがある
  • 長期的なライン消失率がやや高いとする報告がある

2. 連続縫合法(Continuous Buried Suture)

1本の糸を連続的に通し、複数点を一筆書きのように固定する方法です。

利点:

  • 力が複数点に分散されるため、1点にかかる負荷が小さい
  • ラインが滑らかで連続的になりやすい
  • 断続固定法と比較してライン消失率が低いとする報告がある

欠点:

  • 1本の糸で全体がつながっているため、部分的な修正がしにくい
  • 手技がやや複雑で、術者の経験が結果を左右する

参考文献: Baek JS et al. "Comparison Between Continuous Buried Suture and Interrupted Buried Suture Methods for Double Eyelid Blepharoplasty" (Aesthetic Plast Surg). 204例392眼の比較研究で、二重ライン消失率は断続法19.3%に対し連続法8.6%。糸露出・肉芽腫などの合併症も断続法側に多かったと報告されています。(PubMed)

Bae KH, Baek JS, Jang JW. "Nonincisional Blepharoplasty for Asians" (Semin Plast Surg). アジア人の非切開二重術レビュー。著者らは7-0ナイロンを用いたfull-thickness single continuous method(一本の連続縫合法)を推奨すると記載しています。(PubMed)


3. 裏留め法(経結膜固定)

まぶたの裏側(結膜側)から糸を通し、皮膚表面に糸の結び目が出ないようにする方法です。

利点:

  • 表面に結び目が出ないため、まぶたを閉じたときにポコッとした凹凸が目立ちにくい

欠点:

  • 糸の固定力はやや弱くなる傾向があるとされる
  • 結膜側に異物感が出る場合がある
  • 抜糸(やり直し)の際にやや難易度が上がる

4. 自然癒着法(Natural Adhesion Method)

糸で支えるだけでなく、組織間に意図的な癒着(接着)を誘導することで二重ラインの安定性を高める方法です。

利点:

  • 糸への依存度が減り、長期的な安定性が向上する可能性がある
  • 組織レベルでの癒着形成により、自然な折り込みが再現されやすい

欠点:

  • 癒着が起きるまでの初期には若干の不安定さがある場合がある
  • 術式がやや複雑で、適応判断に経験が必要

参考文献: Jung GS. "Natural Adhesion Blepharoplasty Technique". 眼輪筋と挙筋側に小さな処理を加えて部分的な線状癒着を誘導し、非切開の連続縫合を組み合わせる方法。99例で1年フォロー後に二重のゆるみは認めなかったと報告されています。(PubMed)


5. 多点固定・複数糸法(Multi-point / Double Thread Method)

2本以上の糸を使用し、固定点を増やすことでラインの安定性を高める方法です。いわゆる「6点留め」「8点留め」などはこのカテゴリに含まれます。

利点:

  • 固定力が高く、特にまぶたの厚い方や過去に取れた経験がある方に適する

欠点:

  • 糸の数が多いほど組織への負担(異物反応)は増える
  • 固定点が増えても、力の分散設計がなければライン消失のリスクは変わらない

参考文献: Jung GS, Park MH. "The Double Thread Buried Nonincisional Blepharoplasty Technique". 300例の非切開二重術。二重糸を用いた術式で、重大な合併症は少なく、ラインの安定性向上を報告しています。(PubMed)


6. 解剖学的構造固定法(OLT固定法など)

皮膚だけでなく、眼輪筋・挙筋腱膜・瞼板を同じ糸で一括して固定することで、二重を作る解剖学的な構造そのものを再現する方法です。

利点:

  • 二重ラインの形成に関わる複数の組織層を一度に固定するため、構造的に安定しやすい
  • 満足度が高いとする報告がある

欠点:

  • 手技がより複雑で、解剖の正確な理解が不可欠
  • まぶたの構造によっては適応にならない場合がある

参考文献: Shi J et al. "Orbicularis-levator-tarsus fixation suturing in buried suture double-eyelid blepharoplasty". 873例の大規模報告。挙筋腱膜・瞼板前組織・眼輪筋を同じ糸で固定する改良法。6か月以上フォローできた563例で二重ライン消失なし、満足度94%と報告しています。(PubMed)


まとめ:術式名より「設計思想」を見る

美容外科では「〇〇法」「△△式」といった独自のネーミングが多用されますが、医学的には上記のような分類に大別されます。大切なのは名前ではなく、その術式がどのような設計思想に基づいているかです。

連続した1本の糸で複数点を固定する方法は、従来の点固定・断続固定より二重ラインの消失が少ないとする報告があります。また、単に皮膚を留めるだけでなく、二重を作る解剖学的構造をしっかり固定することが安定性に関わるとする大規模な研究もあります。

当院では、これらのエビデンスを踏まえた上で、患者様のまぶたの状態に最適な術式を選択しています。


※本記事の内容は医学文献に基づく一般的な情報提供であり、特定の術式の優劣を断定するものではありません。個々の患者様への適応は、診察の上で総合的に判断いたします。

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